今回は僕が経験した耳管開放症の手術についての記事です。
「耳管開放症が毎日辛くて辛くて仕方ない!!無理にでも治してたい!!」
「いろんな治療法を試したけど治らない。手術した方がいいのかな?」
など、手術を検討している人向けに書きます。
僅かでも参考になれば幸いです。
耳管開放症について詳しく知りたい方はこっちの記事を読んでいただければ嬉しいです。
Contents
僕が手術を受けた経緯
はじめに、なぜ僕が耳管開放症の手術をしたかという話をまずしたいと思います。
耳管開放症の原因はストレスや過度な減量など人それぞれですし、症状の重さもかなり人によって違います。
そして僕の場合、原因が不明でかなり重症だったことが手術を考えた理由でした。
まず原因です。僕の左の耳管はカフェで本を読みながら音楽を長時間聴いていたため開いてしまいました。
いやー本当にショックでした。。。
もしかしたら僕と同じ境遇の方もいるかも知れませんが、耳鼻科の先生に聞いてもネットで調べても、
「耳管開放症の考えられる主な原因はストレスと過度なダイエット、鼻炎など」と書かれていて全然当てはまっていませんでした。
正直、原因が分かれば治療の方向性とかが決めやすかったんですけど当時の自分ではどうしていいか分からず途方に暮れていました。
(ちなみにですが僕の現在の見解では「精神的なストレスではなく身体に直接的に『音』という負荷がかかったことで起こった身体的なストレスによる血行障害ではないかと考えています)
また、耳管開放症の重さも様々ですが、僕の場合は横になっている時間以外は耳管が完全に開いていたのでかなり重症でした。
つまり、原因が分からないから治しようがなかったことと、重症だったので耐えることができなかったために手術に踏み切った訳です。
手術の種類
耳管開放症の手術は種類が多くあります。
・耳管ピン
・軟骨挿入
・脂肪注入
・人工耳管
etc…
なぜこんなに沢山あるのでしょうか?
これで確実に治るというものがあるならば手術は一元化されるに決まってます。
しかし、それがなされていないのは決定的な治療法が現代医療では確立されてないからですね。
だからそれぞれの手術には良い点もあれば悪い点もあります。しかも全ての手術は本質的に根治をさせることができないものでもあるということも理解しておく必要があります。
そして僕が選んだ手術は「軟骨挿入」でした。
軟骨挿入の手術
費用は限度額適用認定証を用いて6万円くらいだったと思います(医療機関によって異なるのであくまで目安として考えてください)
手術の内容はまず耳の裏側を切開して耳から軟骨を削り取ります(少量なので耳の形が変わったり跡が残ったりはしません)
次に鼓膜を破ってそこから耳管に先ほど取った軟骨を上手く挿入していきます。
少し隙間を作ったり、ガチガチに固めてしまうなどある程度の調整は先生と相談して決めました。
なぜこの手術を選んだのか
まず単純に近くの病院でこの手術ができたからです。
実はこの耳管開放症の手術が可能な医療機関は全国的にかなり少ないです。
しかもそれぞれの医療機関で手術の種類が異なります。
遠くの病院で手術をして後日不具合があったときに再びその病院に赴くのは面倒ですよね。
だから、近くの医療機関で手術ができるところを探して、そこでできるのが「軟骨挿入」だったわけです。
さらに、もう一つ理由があります。
軟骨挿入の場合は自分の体の軟骨を使用するため、自分の体が拒否する可能性が低いからです。
耳管ピンや人工耳管などは人工物を耳管に入れることになるのでどうしても感染症のリスクが出てきます。
まとめるとこの軟骨挿入の手術を選んだ理由は近場で手術ができたことと、リスクが少なかったからですね。
経過
鼓膜が破れている状態なので2週間ほどは耳の中にガーゼを入れて過ごしました。
片耳だけはかなり生活し辛いです。
僕は1週間仕事を休んで、2週目くらいからは仕事に行ってました。
「先生もいける言うてたし全然余裕やろ!」って思ってました。
しかし、片方の耳だけだとどこから音が聞こえてるかわからないし、自分の声も慣れない聴こえ方だったので非常にキツかったです。
休めるならしばらく休むことをおすすめします。
2週間ほど経ってガーゼを外すんですけど、聞こえは良くならないです。
何故かというと、僕の場合は耳管ギチギチに軟骨を入れていたので完全な耳管狭窄症の状態になっていました。
耳管狭窄症というのは耳管開放症と逆で耳管が常に閉じた状態になる病気です。
飛行機に乗って耳抜きを全くしないときの感じと思っていただければわかりやすいと思います。
かなり聞こえが悪い状態なのでちょっとしんどいです。まあ慣れたら別に大丈夫ですけど、気持ち悪さはありますね。
1ヶ月後くらいにギチギチに詰められた耳管にすこーし隙間が出来てたまに気圧の調整が行われるようになりました。
これでかなり楽になりました。耳抜きをすれば空気が入ってくれる感じです。でも耳管がキツい時は耳抜きできないこともよくあります。
そしてだんだん挿入した軟骨が緩くなっていきました。たまに耳管が開くのでその時は生理食塩水で閉じさせます。
軟骨のおかげで生理食塩水の持続耳管が4.5時間くらいかもしくはその日寝るまで開かなくなりました。
ただし、欠伸をしたり唾を飲むことでは耳抜きをが出来ないので、常に鼻をつまんで耳抜きをすることになります。
現在もこのような状態ですが、軟骨は少しずつ身体に吸収されていくみたいなので耳管が開いてきたら再び手術をするかも知れないらしいです。
正直、耳管が完全に開いていたときよりはかなりマシですが、完全に治るわけではなく手術としては不完全なのかなと思うこともかなりあります。
他の手術
僕が経験した軟骨挿入以外についても耳鼻科の先生から聞いた情報などを元に軽く紹介します。
耳管ピン
僕が先生に確認した時点では東京と東北で受けることができるらしいです(2018年2月)
手術内容は鼓膜を穿孔してそこから自分のサイズに合ったピンを耳管に挿入し開いた耳管を塞ぐというもの。
鼓膜に穴を開けて耳管ピンを入れるだけなので手術自体はすぐに終わるらしいです。
手術を経験された方曰く、耳抜きは可能。
しかし、手術を受けた人が全員治るという訳ではなく、耳管ピンのサイズが合わない人は改善されなかったケースもあるそうです。
また、先程説明させていただいたように感染症のリスクもあります。
脂肪注入
自分の身体の脂肪を耳管に注入して耳管を塞ぐ手術。
実はこの手術を経験した人や、手術をしている医療機関を知らないので詳しくはよくわからないのですが、
脂肪なので身体に吸収されやすく、長期間持たない可能性があるとのことです。
手術を受けるべきか?
現状、間違いなく言えることは、
「現代の手術では耳管開放症は完全には治りません。」
(ただし、耳管ピンや人工耳管などで元の感覚に近い状態にはなる可能性はあります)
手術は医師の技術やあなたとの相性など様々な要素が絡み合っているので手術をしたら間違いなく改善するとは断言できないのです。
手術を経験した立場からの意見としては、手術にはリスクがあるし、完全には治らないのなら手術を選ばず自分ができる治療に専念することをお勧めします。
手術をしてしまえば、改善することはありますが、耳管を弄る事になるので自然治癒の可能性は低くなります。
挿入されている異物があるので耳管は自然には閉じなくなるのです。
もし、耳管が開いてから日の浅い方ならもう少しセルフ治療を試してからで良いと思います。
耳管開放症には治療法が多いですし、自分の原因を追求して、自分に合った治療法を見つけてひたすらそれを実践するべきです。
手術を検討するのは何をやってもダメだったとき。自然治癒する可能性があるならそれに越したことはありません。
僕は手術したことを「手術する前にもっと自分のできる治療を試せばよかった」とほんの少し後悔しています。
この病気と向き合っていればいつか自分の原因がわかってくるし、そこからいろんな治療法を試していけるはずです。
まだ精神力が残っている方はもう少しセルフ治療を続けるべきかと思います。
それに対して、
「もうダメだ!早く何とかしてくれ!」
と、精神的にしんどくなってる人は手術を検討するのはありだと思います。
耳管開放症から鬱病に発展するケースもあるので、病んでしまう前に少しでも改善して、前向きになれるかも知れません。
まとめ
覚えていておいてほしいことは、
・手術には種類があること
・手術では完全に治らないこと
・セルフ治療で治る可能性があること
です。
患者一人一人の原因や症状が異なりますし、手術が完璧ではないことを考慮すると簡単にこうしたら良いよ!とアドバイスできないのが現状です。
だから耳管開放症と向き合い、自分の原因や症状をしっかり把握することが間違いなく治療に繋がっていると思います。
この記事が少しでも参考になっていただければ幸いです。